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『初心者編』
悩める初心者が、1匹目のサクラマスを釣る為にまず必要なのは運とメンタル面、1986年の28才から始めてサクラマス歴を重ねる今でもヒットには運が必要だと思う。そこに魚がいるという運とその魚の活性(食欲や縄張り意識)が高まる時間に自分がキャスト出来る運のことである。この2つがなければ誰がやっても釣れないし、逆になれば何人攻めた後でも釣れる。実際、過去に私があきらめて移動した後に入った釣り人がすぐ55センチのサクラマスを釣ったり、私が大型をバラした後ベテランが6日間入れ替わり立ち替わり攻めたが駄目だったポイントで7日後、私の2投目に68センチのサクラマス が釣れたりもした。 釣った方はしてやったりだが、釣られた方は運が無かったとしか思えない、決して腕前云々で無い事は、自分が朝釣れなかったポイントへ2〜3時間後に「ここには絶対いるはずだ」と再び入って同じ人間が同じ釣り方をしたのに63センチのサクラマスが掛かった事もあるので良く分かる。 同じポイントにキャストさえ出来れば、誰がやっても釣れる確率はそう変わらない。初心者に「魚はそこにいる」と暗示したらサクラマスがあっさり釣れてしまった事が幾度もある。なかなか釣れない人はそこにサクラマスがいる確信が無い為、ヒットをイメージ出来ないのだと思う。 つまりポイントが同じなら最後に釣れる釣れないを左右するのは、運と過去の実績による自信だと思う。 しかし、いくら釣れなくても諦めずに川に行き他人のヒットを見たり情報収集しているうちにメンタルトレーニングになり少しずつサクラマスのヒットイメージが出来上がり、いつか必ず釣れる。最初釣れない期間が長かった人ほど以降順調で、簡単に釣れてしまった人は後に釣れない期間が来て、そこから逆に悩んで修行する事になるので到達点は一緒だと思うべきだ。 「ポイント選定」 どんな河川でも初期は河口や下流域の堰堤の上下や流れが強くないトロ瀬、平坦な中でもスポット的に深くなった溝やかけ上り、湧き水や支流との合流点を狙う。5〜6月からは下流から遡って、川幅が狭くなるのに比例して臆病になっているので、朝晩は瀬尻やトロ瀬やリフルなどの明るく開けたポイントで警戒心の薄い魚を広範囲に面で攻めて、日中は荒瀬脇や大岩・テトラ際などの身を隠せるところ中心に狭い範囲を点で狙う。粘りが必要な河口付近とは違い無駄な小場所など、どんどん飛ばして移動するほうが大物との出会いは多くなる。 増水時は堰堤上のプール、トロ瀬、瀬頭、瀬脇、岩など障害物の後ろ、カーブの後半。 渇水時は堰堤等の段差の直下、荒瀬、瀬尻、岩など障害物の前、カーブの前半、テトラの際、に付いてます。 「釣行時期」 1部河川を除いて1月1日(2014年からは最上川・赤川3月1日解禁、その他河川は4月1日なので注意!)から解禁になっている山形県では解禁日の有利さはなかった。遡上してくるフレッシュランのサクラマスが一通り釣れた後はスレた奴が多くなるので、魚が天心爛漫な朝1番か濁りが余り入らない程度の雨による増水で突然サクラマスの活性が上る。さらに特筆すべきは本命のサクラマスはもちろんヤマメやハヤなどのライズやモジリで川の中が騒がしい時は良くヒットする。そのタイミングに休日が合えば幸いである。 「テクニック」 40cm以下のヤマメ・イワナの数釣りとの決定的な狙い方の違いは、場を荒らさないように手前や下流の方から1匹ずつそっと釣るのでは無く、最初から大物の定位する所を釣ること。その場所で1番の大物が1匹だけ釣れればいい。先に小物がヒットすると大物が警戒して出なくなる時があるからだ。 季節や水温、流れの強弱による定位のしやすさ、さらに自分の感性で確信的に絞り込んだ付き場を初期はしつこいぐらいスプーンをドリフトさせたり、ジギングさせる。盛期はミノーを逆引きしながら少し激しいぐらいのトゥイッチングやシェイキング&ジャークで誘う。 ヒットしたら場荒れ等は考えずに他のポイントを犠牲にしても取り込むことが大事だが、サクラマスや大イワナは育ち盛りの小物と違い、流れてくる餌を漫然と捕食している魚では無いからなかなか筋書き通りには食ってくれない。周囲にいる信頼出来るベテランに聞いて自分に合ったテクニックを身に付け、バラシでも良いから1度でもヒットした時の流し方を反復し、毎回変えずに統一した釣り方がいい。 集中力が切れた頃に突然ヒットする事が多いものだから合わせ忘れのバラシはベテランも良くやるので注意。年間1〜2匹しかヒットしなかった初心者の頃は夢中でガリガリ巻いてもバレなかったのに年間何匹もヒットする様になった頃から微妙な当たりにも反応して合わせるため浅掛りが多くなるのかヒットも多いがバラシも多くなる人が多い。これまで色々な例を見て来たが、掛ったら有無を言わさずリールを巻いてヒットしたサクラマスとの距離を早くつめた方が慎重過ぎてバラスよりも余程ランディングに繋がる事が多い。 「タックル」 ロッドはシーバスロッドからウルトラライトのロッドまで使用している人がいるから、どんなロッドでも対処は可能で『遊ぶロッド』か『魚を取るロッド』の違いと好みだけで、パーフェクトなものは無く、慣れる事で欠点をカバーした時こそ使いこなした愛竿になる。 初期、川幅の広い下流域では遠投が必要な時が多く、遡上直後のフレッシュランは重量があるため長さとパワーを備えたロッドがいい。 だが5〜6月、フローティングミノーを中心に使う場合は比較的浅場をショートキャストしてピンポイント狙いで攻めるし、下流部の魚ほどの持久力は無いがヒットして最初の走りのスピードは中流部まで遡ったサクラマスの方が贅肉も落ちて身軽なのか速いようで、ライトで短めの方が引きをやんわり受け止めれる為バタバタ水面で暴れないし軽くて楽しめる。 しかしテトラのある所ではどんな大型でも強引にポンピングで寄せなければランディング出来ない。 この3つの条件を1本のロッドでクリアする事は出来ない為に色々使い分けていたが、足場の悪い所でヒットした時パワーの無いロッドで散々大型をバラしてきた経験から多少遊びを捨てても「ウエダ」最強のサクラマス専用ロッドのスティンガーディープ8・2フィートをメインにしている。リールはスピニングが一般的で、初め私はリアドラグ派だったが、今は全てフロントドラグで慣れれば前でも後ろでもハンドルからの距離にそれほど変わりはないのでドラグ操作に問題は無く、安価な物より滑り出しの良い「シマノ」ステラ4000番「ダイワ」セルテート3000番を使っている。 ラインは6〜8ポンドと細い方が少し飛距離が伸びて潜行深度も深くなる利点もあるが、重いルアーのキャスティングだけでラインブレイクする時があるし、テトラに擦れたら一発で切れる。新しいラインを巻いたばかりの時ヒットしたなら問題ないが何百回もキャストした後にヒットすると50cm程度のサクラマスでもあっさり切れる。など細い程撚れや擦れの影響で強度が低下する欠点の方が目立つ。私はこれまで、サクラマス釣りで糸の太さが直接ヒットを左右した経験は無いし、安心してファイトを楽しめるよう色んなラインを試したが現在は強度と耐磨耗性、耐久性に優れた(株)『モーリス』VARIVAS.ソルトウォーターVEPの12ポンド〜16ポンドを飛距離、障害物のある無しで使い分けて使用している。 ルアーの種類は好きなもの(慣れているもの)で良い。これまでのヒットデータ で見ても好みと流行もので釣れているだけだ。スプーンのトリプルフックは「がまかつ」丸せいご16号の天国針に換えるとバレ難い。さらにその天国針にマラブーなどを巻き付けてストリーマーっぽい物をセットして効果を上げている。ミノーのシングルフックは重量配分やベリーのフックが背負い込み絡む問題でなかなか満足するものが見つからない為トリプルフックのままだが、1サイズ大きなものや同サイズならワイヤーの太い丈夫なものに換えた方がランディング率は高くなる。メインで使う9センチのプラグに買った時からノーマルでセットしてある6番は60cmを超える魚に何度も伸ばされているので「がまかつ」や「カルティバ」の4番を背負い込んだりバランスが悪くならないようプラグとの相性に合わせて換えればバランスが良くなり、さらにランディング率がアップする。 「フィニッシュ」 サクラマスは最後の詰めでバラス事が非常に多い。大型で最初から引きが強かったりスレの場合はもちろんシッカリフッキングしていてすんなり目の前まで寄ってきても浅いところまで来てから大暴れすることが多い為、私が散々これまでバラシをやらかして得た私なりのランディング鉄則は、「獲物が目の前まで来たら最後の走りに備えてドラグを4分の1回転以上緩める!」と言う事とランディングネットは大きいもの程よいと言う事である。しかも通常サクラマスネットと呼ばれているフライフィッシングやルアー専用のペナぺナの物は流れのある所では掬い難くランディング後もルアーのフックが絡んでメチャクチャになり事後処理が大変なので、私は10年ぐらい前から「磯タモ」のチタン枠50cmの丸い物を楕円形に曲げてランディングネット型にしてナイロンモノフィラメントネットをセットしているが超軽量だし、フックも絡みにくい。 以上の事を頭に入れれば皆さんは私ほど苦労する事無くサクラマスアングラーになれる事と思う。
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